失業理由には会社都合と自己都合の2つがあります。
2つの失業理由で、失業手当の給付額と給付日に大きな差がでることを、あなたは知っていますか?
私、離職票の失業理由が自己都合だったけど、もしかして本当は会社都合だった?
なんて疑問を持っている方、実は知らず識らずのうちに損してしまっているかもしれません。
そもそも会社都合と自己都合がどう違うのかと、それぞれにおける失業手当の給付額や給付日の違いをこの記事では紹介します。
正しい知識を身につけて、失業手当をしっかりもらっちゃいましょう!
【失業理由】会社都合と自己都合ってどう違うの?
失業理由には、会社都合と自己都合の2種類があります。
2つの違いはなんとなく分かる!
けれどもどこまでが会社都合で、どこからが自己都合になるのか改めて聞かれると自信がない…。
という方もきっといるのではないでしょうか。
そこで、2つの失業理由の違いについて説明していきます。
失業理由①会社都合
失業理由の1つ目は、会社都合によるものです。
会社都合というからには、自分で退職の意思を示したわけでなく、会社側から何らかの理由が原因で失業してまうことを指します。
その具体例を以下の表にまとめてみました。
- 倒産などによる場合
- 倒産(破産、民事再生、会社更生、あるいは手形の不渡りなど)
- 大量のリストラが行われた
- 退職事業所の廃止・移転
- 解雇などによる場合
- 解雇(懲戒解雇を除く)
- 会社が育児・介護休業法に違反
- 退職勧奨を受けた(早期退職優遇制度による退職は含まれない)
- その他
- パワハラ、セクハラなどのハラスメントを受けた
- 会社理由の休業が3ヶ月以上つづく
- 会社の業務が法令に違反した
- 労働条件が労働契約締結時と大幅に違う(賃金・職種・勤務時間・勤務場所など)
- 過剰残業が続く(3ヶ月連続で月に45時間以上、または1ヶ月で100時間以上)
- 賃金の未払いまたは大幅な低下
参考:ハローワーク特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要
実は、会社が育児や介護での休暇を認めない失業理由は、会社都合にできるんです!
育児・介護休業法は、大企業・中小企業関係なく適応される制度です。
仕事を辞めたくないのに会社側が対応してくれず辞めざるを得ない場合は、かならず会社都合になるよう働きかけましょう。
ただし、パートやアルバイトを育児・介護休業法の対象外としている会社もあるので、1度労働契約書や会社に確認することをおすすめします。
こちらの動画では、育児・介護休業法についてより詳しく解説しています。
動画時間が20分と少し長いため、お時間のある時に見てみてください。
かなりためになる動画になっていますよ!
引用:厚生労働省 / MHLWchannel・知っておきたい 育児・介護休業法
上記以外でも、契約社員または派遣社員で3年以上雇用実績があり、契約満了のため失業した場合は、会社都合が適応されるケースもあります。
気になった方は、最寄りのハローワークで確認してみてください。
失業理由②自己都合
失業理由2つめが自己都合によるものです。
自己都合の具体例を表にまとめましたのでご覧ください。
- 転職(キャリアアップ・異業種など)
- 引っ越しにより通勤が困難
- 結婚・妊娠・出産・育児などのライフステージの変化
- 両親・配偶者・子どもの介護
※すべて自ら退職の意思を会社側に伝えていることが前提条件
このように自己都合は会社都合と違い、自ら会社に退職する旨を伝えた場合を指します。
さっきは育児・介護を理由に失業すると会社都合に該当するって書いてあったけれど、どういうこと?
と思われた方、実は育児・介護はどちらの都合にも当てはめることができるんです!
ただし、若干条件が異なるため説明しますね♪
これは、会社側が国によって定められている育児・介護休業法に違反しているため、会社都合扱いになります。
一方、仕事と育児・介護の両立は難しいので仕事を辞めて専念するため退職した場合。
これは、自らの意思で仕事を辞めているため、自己都合扱いになります。
このように失業理由は、仕事を続けていく意思の有無で大きく変わってきます。
また会社側に重大な損害をあたえ懲戒解雇になった場合は、会社都合ではなく自己都合扱いになりますので覚えておきましょう。
会社を辞めたいけれど、円満退社になるような伝え方が分からない方は、こちらの記事がおすすめです。
失業手当は会社都合と自己都合で給付額に差がでる!?
失業手当ですが、会社都合と自己都合で給付額が違ってくるのをご存知でしょうか?
実は、失業理由・年齢・雇用期間などで給付される額に大きな差ができてしまうんです!
では具体的にどれだけ違うのかを説明する前に、まずは失業手当について少しだけ触れておきましょう。
失業手当ってなに?
失業手当ですが正式には雇用保険(失業保険)のことを指し、会社都合や自己都合で職を無くした場合に国から支給される基本手当のことをいいます。
そのため、失業手当が給付される条件として一定の期間は雇用保険に加入しなければなりません。
尚且つ、3つの条件をクリアしていることが前提条件になります。
- 現在失業中である
- 自分には働く意思がある
- 次の仕事の内定が取れたらすぐに働ける状態である
それでは次に、どんな計算式で失業手当がもらえるのかを説明していきます。
失業手当の計算式
失業手当は、仕事を辞める前にもらっていた給与分の50%~80%相当が給付されます。
ではどうやって、失業手当の給付額は決まっているのか気になりますよね。
そこで、失業したら大体いくらもらえるか事前に調べられるよう、具体的な計算式を3つお伝えします。
まずは、失業手当を算出するのにあたって重要になってくる賃金日額の計算からです。
賃金日額は表の中の計算式を使って計算します。
賃金日額とは、離職前(失業・退職前)の6か月分の給与額を、180日(6カ月間×30日)で割った金額をいいます。
次に、基本手当日額を計算していきます。
基本手当日額とは、1日あたりの失業手当の給付額のことです。
基本日額手当の式も表の計算式を参考に計算してみてください。
賃金日額×給付率=基本日額手当
最後はひと月の給付額の計算です。
下記の式で計算したおおよその金額が、ひと月ごとに給付してもらえる失業手当の金額になります。
ここで1つ注意しなければいけないのが、先ほど紹介した賃金日額・給付率の割合とともに、上限・下限が設定されています。
そのため、年齢や平均給与などで変動するので、こちらの雇用保険改正リーフで確認してみてください^^
では、ひと月の給付額の算出方法が分かったところで、失業手当の給付総額を会社都合・自己都合2つの理由に当てはめながら見ていきましょう。
失業手当①会社都合の給付総額
それでは初めに、会社都合だった場合の失業手当給付総額について説明していきます。
まず、失業手当給付総額は年齢・被保険者期間で給付日数が違うことを覚えておきましょう。
給付日数の違いは以下の表で確認ができますので、ぜひ参考にしてみてください。
※補足2 受給資格に係る離職日が2017年3月31日以前の場合の日数
引用:ハローワークインターネットサービス 基本手当の所定給付日数
失業手当給付総額はひと月の給付額に給付日数をかけると、簡単に計算できますよ。
具体的な例と共に説明したいので、ここではIT企業勤めのY実さんで考えてみましょう。
賃金日額:月給27万円×6か月÷180日=9,000円
基本手当日額:9,000円×50~80%=4,500~7,200円
(賃金日額が9,000円のため給付率は50~80%)
失業手当支給総額:4,500~7,200円×210日=94万~151万円(万以下は切り捨て)
このように、Y実さんは約151万~94万円もの失業手当が給付されます。
失業手当②自己都合の給付総額
つづいては、自己都合だった場合の失業手当給付総額について説明していきます。
自己都合は、どの年齢も関係なく雇用保険の加入期間の長さで給付総額が確定します。
これこそが、会社都合と違う大きな点です。
自己都合の給付日数に関する表も載せていますので、こちらも参考にしてみてください。
引用:ハローワークインターネットサービス 基本手当の所定給付日数
失業理由が自己都合になると、失業手当給付日数が上限で150日までとなっています。
そのため、先ほどのY実さんが会社都合から自己都合に変わると失業手当給付総額が54万~86万円(万以下切り捨て)に減ってしまいます。
つまり、40万~65万円もの額を損してしまうのです!
この金額の差はかなりでかいですよね…。
そのため、必ず失業理由はきっちりと確認しましょう!
このように、失業理由が違うと失業手当の給付額がかなり変わってくるのですが、実は給付日にも大きな差がでてしまうんです。
失業手当は会社都合と自己都合で給付日も違う!
失業手当の給付日も、会社都合と自己都合でも大きく変わってきます。
給付日の差を知らずに失業手当をアテにしていると、痛い目にあうかもしれません。
そんなことにならないようにしっかり説明しますので、知らない方はぜひこの機会に覚えてしまいましょう!
失業手当の給付日①会社都合
失業理由が会社都合だった場合は、給付日がとても早いです。
まず会社から離職票を受け取り、ハローワークに離職票と求職票を提出して、失業手当の給付申請を行います。
この時に面接があり、問題が無ければ失業手当の対象となると同時に、失業理由が確定するのです。
そして7日の待機期間が終わって翌日から給付開始になり、指定口座に失業手当が入金されという流れになります。
失業手当の給付日②自己都合
つづいては、失業理由が自己都合だった場合の給付日の説明をしていきます。
自己都合も7日間の待機期間までは会社都合と変わりません。
しかしながら次からが大きく違ってきます。
待機期間を終えても、なんと2か月間の給付制限が設定されているため、すぐには失業手当が入ってきません!
(2020年10月1日より3か月の給付期間が1か月短縮されました。)
そのため、失業理由が自己都合の場合は失業手当の給付までにかなりの日数がかかってきてしまいます。
失業手当をアテにして公共料金や娯楽費の支払いを、カード払いにしていると大変なことになったという声も…ちらほら聞くので注意しましょう。
【失業】会社都合と自己都合は違う?失業手当の給付額・日の差まとめ
今回は失業理由である会社都合と自己都合の違いや、失業手当の給付額、給付日の差について取り上げました。
失業理由が自己都合だと失業手当の給付日数が会社都合よりも限られています。
そして、2か月の給付制限期間があるため失業手当が入ってくるのにかなりの日数を待たないといけません。
退職し数年たってから、失業理由が会社都合だったのに自己都合になっていた…。
と後から気づいても、給付申請の面接時に確定してしまった失業理由に変更は利きません!!
そのため失業手当について正しく知識を付け、しっかり受け取るようにしましょう。
失業中に何をすればいいか分からないそこのあなた!
ぜひこの記事を参考にしてみてください。
失業中に働き方を見つめなおしてはいかがでしょうか?
読者様の人生が実りあるものになりますように!
最後までご覧いただきありがとうございました。
また病気やケガなど何らかの理由で、親・配偶者・子どもの介護をすることも。
子どもを育てるのにも親を介護するのにも、お金は間違いなくかかってきますよね。
そのため仕事を辞めることなく収入源を守り、育児や介護に取り組めるよう国から定められた休暇制度があります。
それが育児・介護休業法です。