ところで、あなたは海外で働いてみたいと思いますか?
海外展開する会社に勤めているなら、「いつか海外への赴任や駐在辞令をもらうかも…」という期待と不安があるかもしれません。
「海外展開をしている御社だから」という動機で入社を目指す学生もいますよね?
また、海外展開を考える会社に転職した際に、海外事業の立ち上げ担当者となるケースもあります。
私は「海外で働いてみたい!」という希望を実は学生時代の頃からうっすらと持っていました。
「でも私なんか無理だろうな・・・」とか「そういうことができるのは、有名大学出身でエリートで英語が堪能な優秀な一握りの人だけなんだろうな~」と、ずっと思ってきました。
海外駐在には行きたい人が行けるのではなく、「任せたい人」を会社が選んでいますよね?
そんな時、企業の人事はどのような基準で海外駐在員の候補を選んでいるのでしょうか?
…実は、私もずっと知りたかったことでした!
今回は、ご自身も駐在経験のある某大手商社の人事の方と会って、実際に聞いたお話しをシェアしたいと思います。
海外駐在先が求める「必要な人材」って?
お話をした人事の方(以下、A氏)は、長く商社にいらして人事なども担当していらした、気さくで落ち着いたロマンスグレーの老紳士です。
海外駐在先が駐在員の受け入れを希望するのは、専門職補充だったり、営業強化人材だったり、現地取引先との関係改善役だったり、現地の社内での調整役だったり、はたまたトップの交代だったり…ケース都度、様々です。
事務職などは現地で採用される場合が多いので、彼曰く日本からの駐在は「それなりの理由」が必要になるようです。
海外支店からの需要や要請があった上で、人事は現地の希望する役割を最優先して駐在させる人を社内で探します。
大企業であれば駐在希望者への選抜試験があったり、上司推薦が必要だったり、たまにですが海外支社から信頼が厚い人を「社内指名」するケースもあるそうです。
>>駐在員選考に関しては、こんな記事も書きました!ご参考までに!
時には、海外担当者として社外の経験者からの中途採用で見つける場合もあります。
A氏いわく、「海外支社は、着任してその日のうちにでもすぐ動ける人を求める傾向がより強い」んだそうです。
僕が若かった頃とも今はいろいろ違ってきてますよ。
人事が考える「海外駐在に送り出したい人材」とは?
企業として、海外支社に人を駐在させることを考えた場合、企業側からも多くの費用が投入されます。
経費をできるだけ必要最低限に抑えたい…そのためには当然ですが、「現地で何かと手のかかる人」を派遣するわけにはいかないですよね。(確かに・・・。苦笑)
ひとりで何でもできる人、何かあった時にはある程度自分で対処できる人が望まれるそうです。
この「ある程度自分で対処できる人」の部分に、英語(プラス駐在先のローカル言語)が含まれています。
なので、たとえ英語ができても、社内で何かと手がかかる存在になっていたのであれば、海外駐在への道筋は難しいと思われます。。。
A氏がおっしゃっていたのは、「昔は英語ができれば社内でもかなりのアドバンテージがあった。でも、今は英語だけできる人はあまり重宝されない。英語はある程度できて当たり前で、更にプラスアルファ(専門性など)があり、且つ問題解決力のある人かを見る。それがあれば安心して送り出せる。」とのことでした。
昔に比べて、英語だけでなく他の言語も話せる人が日本に増えてきた、という今の日本人の能力が発展した喜ばしい状況なのでしょうね。
そしてもう一点、意外な話をされていました。
それは海外駐在に必要なのは「日本人らしい一般常識と俯瞰(ふかん)目線」なんだそうです。
海外で働くと言っても、会社はあくまで日本の支社で駐在先。日本の「飛び地」とも言えます。
現地に染まり過ぎて日本的な部分を否定する傾向にある人は、その後うまくいかなくなる場合が多い、と駐在員を派遣してきた経験から来る実感だそうです。(バブル当時に多かったそうです。)
現地のやり方や文化を最大限に理解して、日本的感覚も忘れない、というのが、企業からの海外駐在を通して今後のキャリアの成功のカギになるみたいですね~。
そして「俯瞰(ふかん)」については、働いていれば普段から言われてることですが、全体像を見れる視点を常に持つこと。
これは海外駐在・国内勤務に関係なく、「職場で求められる人材」には必須条件と言われていますよね。
海外駐在に、英語力はどれぐらい必要なの?
前述のとおり海外駐在のためには、まずは「英語はできて当然」とのことなので、最低限の英語の習得は必須のようです。
でも、どこまでの英語を習得すれば、海外駐在候補のスタートに立てるのか、不安ですよね?
企業によってはTOEICなどでのビジネス最低レベル程度を取得(630~)必須としていることもあるようです。
英語の資格については具体的には以下の記事でも詳しく書いたので、見ていただけると嬉しいです。
海外駐在員や海外関連部署への配置は、英語力だけで決定されることはありません。
部署にもよりますが、業務で使う専門用語は日ごろの仕事で使うことが多ければ自然に覚えていけるので、最初から英語で専門的に話さなくても問題はないそうです。
契約書などの重要書類はもちろん理解しなければいけませんが、社内外の専門家の力も借りることも可能です。
英語習得の秘訣は、今後はこちらのカテゴリで記事を増やしていこうと思っているので、参考にしてみてくださいね。
今いる場所でできる「選ばれる努力」とは?
英語以外には、今いる職場での成果をきちんと上げていくことに尽きると思います。
自分の仕事ができて他人からも評価されれば、海外でもその評価を元に「オファーが来る」可能性がありますよね。
その他に日頃から心がけることとして、当然ですが、信頼できる人間関係の構築も大事です。
よくビジネス用語に出てくる「人脈」と呼ばれるものですね。
一方的に利用するだけではなく、「お互いに助け合いできる存在」は仕事において本当に心強い存在になります。
日本でもそうですが、海外に出た時にはもっとに感じることになると思います。
一緒に仕事をしたことのある同僚・クライアント・業者さんなどの日本からはもちろん、もう20年前以上たっているイギリスでの友人やスペインで仲良しさんから紹介された方など、思っても見なかったところから今でもたまに「これはできる?」と声をかけていただいたりするのです!本当にご縁ってすごいです!
関わった方と信頼できる関係って本当に大事だな~と私は転職を経て心から実感しました。
実は商社を定年退職後に、独立した昔の部下から声をかけられてインドネシアに行きましたが、彼はホントに昔から周囲が「手伝いたくなる」存在で、現地の人とのコミュニケーションも上手で…人柄は国籍を超えて尊敬を生むんだと感じましたね。
海外駐在員に「選ばれる人材」になるには!
実際にA氏とお話ししていて、海外駐在員として選ばれる人材になるには英語はできて当然で、仕事の実務能力と臨機応変な対応力を持っていれば、選ばれる可能性が高くなりそう、という印象を受けました。
更に前述した人脈・人望・人柄があれば、どこに行っても怖いものなしですね。(笑)
でも、それは海外駐在に限らず、日頃から「会社内でも選ばれる人材」なのかもしれないなぁ、と思いました。
A氏も「今回の話はあくまで個人的な経験と印象だけど」と気軽にいろいろ話してくれましたが、ご自身も東南アジア支社に出向されていた経験など、ご苦労された裏話も聞かせていただきました。
実際の人事のお話を聞いて、改めて私も今からでも「選ばれる人材」になれるように、まだまだもっと努力しなくちゃ!と考えさせられました。
たとえ今仕事があっても、急に転職しなければならなくなったり、色々な対応変換をしなければいけない事態もあり得るのは、以前のリーマンショックや今回のコロナウィルスなどの例で十分感じていました。
やはり、日頃の緊張感とブラッシュアップは必要ですね!
海外生活にはいろいろな不安がつきものかと思いますが、海外赴任・海外駐在などの「海外生活情報」についても書いていますので、ご参考になれば。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!