令和の現代、非正規雇用で働く人の割合はどんどん大きくなっています。
「今は派遣で働いているけど、いつか正社員になりたい」
そのような漠然とした考えを持ちながら、非正規雇用者として働く人は多いです。
働き方が多様化する現在では、昔よりも「絶対に正社員で働く!」という風潮はなくなってきました。
しかし正社員という雇用形態を見ると、やはり派遣社員で働くよりも多くのメリットがあるようです。
そこで、こちらの記事では正社員のメリット・デメリットを確認し、読者さまの正社員を目指す理由を明確化しようと思います。
また派遣社員から正社員への転職方法も紹介いたしますので、ぜひご自身の状況に合った方法を選んでくださいね。
派遣から正社員を目指す3つのメリット

「正社員の方が安定している。」
よく耳にする言葉だと思いますが、具体的にはどのように安定しているのでしょうか?
雇用形態ごとのメリットやデメリットを頭に置いておくことで、複数の候補から自分にぴったりの会社を見つけやすくなります。
それではまず、正社員で働くメリットを派遣社員の場合と比較して紹介します。
給与が増える
正社員として働くひとつめのメリットは、派遣社員として働くよりも給料が増えることです。
こちらの厚生労働省が出している時給賃金のグラフをご覧ください。

派遣社員を始めとする非正規雇用の賃金は赤色の折れ線グラフで表示されています。
20代初めのころは、どの雇用形態もそれほど変わらない給与です。
しかし、これが年齢や経験を重ねると大きく変わってきてしまいます。
派遣社員でも時給があがることはありますよね。
しかし、正社員雇用の場合はこの賃上げ幅がさらに大きいんです。
日本では初春から行われる春闘という労働運動が有名ですが、令和2年に行われた賃上げ額の平均は+6,286円/月でした。
こちらは年75,000円以上のベースアップとなり、とても魅力的です。
また、ボーナスや特別手当・退職金を別途出す会社も多く、やはり給与が高いことは正社員の大きなメリットだと言えるでしょう。
福利厚生が充実している
正社員を目指す人の中には、この福利厚生に焦点を当てて転職活動をしている場合も多いです。

福利厚生(ふくりこうせい、employee benefits)とは
企業が従業員に対して通常の賃金・給与にプラスして支給する非金銭報酬である 。また多くの場合、企業の福利厚生の対象は従業員のみならず、その配偶者や家族、あるいはかつて従業員だった者にまで及ぶことがある。
引用:Wikipedia
福利厚生は法律で定められるものと、会社や企業が独自に設定しているものの2種類に分けられます。
どんな福利厚生があるのか確認してみましょう♪
【法定福利厚生】
- 社会保険(厚生年金・医療保険・介護保険など)の一部企業負担など
【法定外福利厚生】
- 財形貯蓄制度
- 住宅補助
- 通勤補助(交通費の支給など)
- 家族手当
- 福利厚生施設サービス(食堂や保養所など)
- 資格取得の補助
など
派遣社員で働いている場合、特に違いを感じる部分は通勤手当かもしれませんね。
電車の場合は定期券代・車通勤の場合は駐車場代やガソリン代などにあたりますが、派遣社員ですと支払われない(すでに賃金に含まれている)ことも多いです。

ガソリン代や駐車料金も会社持ちだって・・・うらやましい!
派遣社員でも、派遣先の福利厚生が受けられる場合もあります。
しかし、一般的には自社の社員を優遇するため、正社員と非正規雇用社員との差別化を図る企業が多いです。

求人要綱にも記載がありますので、よくチェックしてくださいね。
社会的信用を得られやすい
以前はクレジットカードを作るには正社員でないと認められづらい・・・という風潮がありました。
現在はそこまで厳格ではありませんが、やはり正社員であることの社会的信用は大きいものです。
特に住宅購入などの際にローンを組む、保険などの契約をする、など社会的信用が低いと利用できないサービスも多いです。
この社会的信用は雇用主である企業がバックグラウンドとなり高まるもの。

逆に、正社員から独立し起業をしたりフリーランスになったりする場合は、会社を辞める前に新規クレジットカードやローン申請をする人もいるそうです。
それほど「正社員である社会的信用」は大きいものなんですね。
それでは次からは正社員のデメリットをチェックしてみましょう!
派遣から正社員を目指すデメリット

給与や福利厚生の違いにより正社員で働くメリットに魅力を感じるかもしれませんね。
しかし、一方でデメリットも存在します。
「やっぱり派遣社員がよかった・・・」と転職後に後悔することのないよう、しっかり確認しておきましょう♪
時間の自由がなくなる
意外と見落としがちなのが、正社員になると時間の自由が効かなくなることです。
「有給休暇や時短勤務制度などがあるから、もっと時間が確保できるかと思っていた」
と悔やむ元派遣社員の方もいます。
正社員として働き始めると、長期雇用を見越してだんだんと責任のある仕事を任されるようになります。
- 顧客や他の会社とのやり取り・付き合い
- 部下や派遣社員・パート・アルバイトなどの業務管理
- 発注や支払い、金銭管理、機密情報などの管理
- システムや業務内容の改善・提案・実行
など
例えば、飲み会や悩み相談など業務時間外での交流が増えることも・・・
また、仕事のための情報収集や資格勉強をプライベートな時間に行う人も多いです。
派遣社員は業務内容が一貫して決まっていることがほとんどですが、正社員の場合はだんだんと業務内容がレベルアップしていく傾向にあります。

そのため「常に仕事のために時間を使っている」と感じる人も多いようです。
仕事を選べないこともある
正社員として働くとなると、会社の方針に従わざるをえないときもあります。
単身赴任や出張を命じられることもあったり、会社の一員として頭を下げねばならないときもあります。

例えば接客業だと、突然休んだパートさんの穴埋めにシフトに入ったりもします。
普段はしない仕事なので不慣れなこともあり、それでお客さんに怒られることもあるんです。
「自分ってなにしてんだろうな・・・」
と思いがちになる人も多く、また、自分の気持ちと会社からの期待の板挟みになることもあります。
なにごともチャレンジ!経験を糧にするぞ!
そんな気持ちで挑めると良いのですが、やはり心が疲れてしまう人も少なくありません。
自分でさまざまな交渉を行わなければならない
派遣社員の場合は、所属している派遣会社が間に立って仲立ちをしてくれる場合が一般的です。
- 自分に合った派遣先を紹介してくれる
- 給与や勤務形態など、気になる点を派遣会社に確認できる
- 辞める際も派遣会社に連絡をする
しかし直接雇用の正社員となると、間に入って職場とやりとりをしてくれる派遣会社はいません。
さまざまな確認や、聞いていた契約と違う場合、自分で話し合いを行わなければならないのです。
特に転職で正社員を目指すときは以下の点に注意をしましょう。
- 実際の業務内容が募集の内容と異ならないかどうか
- 最低賃金やボーナスの有無、交通費の支給上限など
- 残業がどれほどあるか、残業代は給与に含まれているかいないか
- 社風や職場の雰囲気
派遣から正社員を目指すのは2通り

派遣社員から正社員になる道は2つあります。
- 正社員の職を探す
- 正社員雇用制度がある派遣先を探す
ちょうど2人の転職者にお話を聞くことができましたので、そちらの意見も参考にしてくださいね。
正社員に転職する
派遣の仕事を続けながら、あるいは辞めるにせよ、転職活動が必要となります。
仕事を紹介してくれる派遣会社とは異なり、自分自身で働く先を見つけて仕事を決めなければなりません。
現在は「ハローワーク」を始め多くの転職サービスが存在します。
中には「医療」や「事務」などの希望職種だけを集めた求人サイトもあれば、自分のスキルや資格を入力すると企業側から仕事のオファーが来る転職サイトもあるんです。
また、転職エージェントを使って転職をする方法もあります、自分に合った方法を探しましょう。

派遣社員は休むと給与が出ないです。そのため休みの日には転職の面接を複数入れていて、ハードスケジュールでした。
でも、派遣だと契約更新が数か月ごとにあるため、「いつから働けるの?」という質問に明確に答えられるのは派遣のメリットだったかもしれません。
派遣社員から正社員になったAさんに転職のコツを聞いたところ、「派遣ならではの働き方をメリットと捉えてアピールする」ことだそうです。
Aさんが実際にアピールした内容を教えていただきました。
【派遣先を転々としている】
→複数の職場で経験を積み、幅広い業務に対応できます。
【職歴の空白期間がある】
→なかなか派遣先が決まらず、その期間は資格試験などの勉強をしてスキルアップをしていました。
一般的にデメリットとして捉えられがちなことも、メリットとして明るくアピールすることで、採用担当者に性格面での積極さも強調することができそうですね♪
正社員雇用制がある派遣先を探す
最初から正社員を目指すわけではなく、派遣社員から正社員雇用を目指す方法もあります。
こちらのメリットはずばり「職場の雰囲気を確認することができる」点です。
転職を怖いと感じる理由のひとつに、新しい職場での雰囲気が分からないということが挙げられます。
- いじめやパワハラがあったら・・・
- 残業がすごく多かったら・・・
- 飲み会が毎日のようにあったら・・・
とにかく転職への不安は尽きません。
そんな場合、最初は派遣社員として働き、能力が認められたら正社員として直接雇用されるのはとても魅力的ですね♪

私は前職をいじめで退職したので、同じ状況になるのがなにより怖かったです。
派遣として働きながら職場の雰囲気も確認し、仕事も頑張り・・・
正社員にならないかと打診があったとき「派遣として働き続ける」か「正社員として働き始めるか」の選択ができるのがとても良かったです。
直接雇用制度を持つ会社を見つける方法としては、2パターンあります。
- 現在所属している派遣元会社に「正社員雇用制度がある派遣先」を紹介してもらう
- 「正社員雇用制度がある派遣先」に強いパイプがある派遣元会社を見つける
やはり派遣元の会社もそれぞれ強みというものがあります。
派遣先に正社員雇用制度が存在することは当然として、そのような会社を紹介できる派遣元かどうかもチェックしておきましょう。
また、紹介された場合には正社員に雇用される人がいるのかどうか、直接雇用条件なども確認すると安心ですね。
派遣から正社員の転職を目指そう!
派遣から正社員になるとメリットばかりがあるように感じられます。
しかし正社員という雇用形態ばかりに固執すると、思ってもみなかったデメリットが出てくることも・・・
今ある不満点ばかりに目を向けがちですが、派遣社員であることのメリットに関してもよく考えて転職を始めましょう♪
【正社員になる3つのメリット】
- 給与が増える
- 福利厚生が手厚い
- 社会的信用が得られる
【正社員になる3つのデメリット】
- 時間の自由がなくなる
- 仕事内容を選べないことも
- 自分で確認・交渉をしなければならない
これらのメリットデメリットを踏まえ、自身の今後の人生プランを考えたとき、きっとより良い転職ができるはずです。
こんなはずではなかった!
と後悔しないよう、しっかりと自分にメリットが多い就職先を見つけてくださいね。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。