一応、ビジネス英語を中心に勉強しているけれど、
海外駐在や海外での生活には結局どれくらいの語学力が求められるの?
・・・結論からいうと、赴任先・職域によってかなり差があります!
例えば、営業職などで海外赴任して、商談や交渉する相手はバリバリネイティブ現地企業となると、ある程度の英語力が求められます。
一方、非英語圏への赴任で、英語を交えた現地語での交流などに限られたり、社内の公用語は日本語だったり、日本語の通訳がいたりする場合、さらに商談相手は日系企業の日本人担当者となると、仕事ではそれほど英語を使わない場面が多いことも考えられます。
今回は、海外現地で「英語を使って」仕事ができるレベルに必要な英語はどのぐらいか、そしてそれ以外に必要な「語学力のレベル」に焦点を当てて、体験した独断を交えて書いてみます。
あなたがいつか海外で働こうと思っているなら、準備の目安になるでしょう。
日常英会話はどこでも必要!
コミュニケーションをとるためのツールとして、ある程度の「日常的な」英語はすべての場面・すべての赴任先で必要だと思っておいたほうがよいでしょう。
ネイティブのように流暢に話す必要はありませんが、仕事であまり英語を使う予定がない場合でも、日常生活は困らないくらいの英語力があると、何かと便利です。
非英語圏でも日常英会話ができれば便利!
英語圏ではもちろん日常英会話ができれば便利なのはわかります。
そして非英語圏では現地語ができればもちろんベストですが、現地語ができない場合は仕事や生活の面でやはり日常英会話が必要になってくるでしょう。
例えば、ヨーロッパの場合は北欧やベルギー・オランダ・ドイツ・オーストリア・スイスなどでは、現地語は当然ですがビジネスシーンだけではなく、一般市民の英語認識率が大変高いです。現地で道を聞いた際には、かなり年配の方でも流量な英語で返ってくる確率が高かったです。
さらに、以前は「フランス語でしか返事してくれなかった」フランスでも、最近はもちろん英語で反応してくれるようになり、特にビジネスや観光業に携わっている施設などでもほぼ英語でOKという印象です。
スペインも同様で、都市部はもちろん観光関連を中心にビジネスに携わっている場面の多くは、ほぼ英語でOKなところが増えました。近年脚光を浴びている「村ツーリズム」「ワインツーリズム」などのおかげか、ここ数年で小さな村のインフォメーションでも、スペイン語と同じぐらいのボリュームで、外国人向けの英語表記がされています。
カタールやドバイなどでは警察官や警備員の多くは英語を理解している人が多いように見受けられました。また、トルコで会った観光通訳さんたちに聞いた話では「英語+他の言語」といった組み合わせで収入を増やす工夫をされていました。ここでも軸となるのは英語のようでした。
東南アジアに目を向ければ、日本企業の進出も多いため日本語での情報収集もできる場合も多いかもしれませんが、やはり共通言語が英語の場合も多いです。
現地での生活やビジネスでは当然ですが、外国人の移住なども進んでいる背景から、住宅の賃貸契約書などまで現地語+英語で用意されている場合もあるようです。(↓写真はベトナムの賃貸借契約書から)
フィリピンでは昔アメリカ軍が駐留していたことから英語と現地語であるタガログ語(フィリピン語)が併存していたため、近年の自国語復興策の後でも、英語を習得している人の割合がかなり高いと言われています。
タイやインドネシアなどでも、外国人と外資の流入により多くの人が「英語を学ぶと稼げる」ことを知っていますので、英語が通じるところはどんどん増えていますし、ビジネスの場面ではやはり英語を使わなくてはいけない場面も多いようです。
アフリカでも、多くが植民地の名残で宗主国(植民地を支配する国)の言語を引き継いでいるところが多いのは当然ですが、英語圏の宗主国を持たなかった国でも、近年はやはり世界共通語としての英語を第二カ国語にしている国が多く、英語も通じるところが多いようです。
また南アメリカ諸国も同様に大半の国(※)がスペイン語圏ではありますが、隣国アメリカとの関係性もあり英語への理解は早いようです。
※元ポルトガル領のブラジルはポルトガル語、元英領のグレナダは英語、などスペイン語圏でないところもある。
現地語が分からない場合は、無理矢理「英語」で何とかする!という意気込みで。
日常英会話ができることは現地で節約になる!?
日本人が多く住んでいる国だと、日本語が通じるサービスも多く、担当者が日本人の不動産屋さんなどがあったりもします。(現地での契約書も日本語表記で作成される場合もあります。)
日本語で理解できるので確かに安心で心強いですが、その分現地レートよりもいくらか上乗せされた高めの家賃だったり、デポジット(保証金)を多く請求されたりすることもあります。
また通訳を現地で雇う場合などは、大概の国では「日本語通訳」は「英語通訳」よりも高い傾向があります。これは単純に需要の違い(日本語を必要な場合は英語に比べて少数)なのですが。
このように、「日本語だけの場合」と「英語が分かる場合」、そして「現地語も分かる場合」では、色々な費用やサービス内容が変わってきます。
語学力があれば、何かと安くできるんです!それを知ってるだけでも違いますよ。
ぶっちゃけ「ビジネスレベルの語学力」ってどのくらい?
それでは具体的に、仕事の現場で「ビジネスレベルの語学力」とはどのぐらいあればよいのでしょうか?
日本で一般的に「ビジネスレベルの英語」と呼ばれているのは、TOEICで言うなら630点以降ぐらいからだと言われています。
もちろん、英語ネイティブと議論したり学術的・哲学的な話をする場合にはかなりの専門用語も理解してディベートなどもある程度できるかなり高いレベルが望ましいとなるでしょうし、海外商社などの一部では政治力も含めてネイティブ並み(もしくはそれ以上)の英語力を必要とされる場合もあるかもしれません。
また、企業翻訳などでは当然しっかりとしたネイティブ以上の英語力(読解力・表現力含めて)が必要でしょう。
でも、通常の商談や会社である程度の専門性の限定された内容であれば、ある程度の英語力+αで十分仕事はできるのではないか、と私は感じました。(私はこのレベルだったので…)
なぜなら、私は「そんなに高くない英語力」の段階から商談やコミュニケーションを取るうえでそんなに大きな問題を感じなかったのと、そんな私に対して交渉・商談相手も「それほど高レベルな英語を求めてこなかった」からです。(基本的な仕事の決まりごとを守る、が当然大前提ですが)
日本人はどちらかと言うと完璧主義で「仕事をするなら高い英語レベルでなくては!」と思っている方が多いかもしれませんが、私が仕事上色々と交流を持ってきた中での印象は「ある程度の英語力+α」(例えば、セールスのスキル、何かの専門分野に詳しい、交渉事に粘り強い…等など)の人のほうが、「英語がネイティブ並みに話せる人(なだけ?)」よりも成果を挙げていた例が多かったです。
ちなみに、ノンネイティブの外国人が取得する「日本語検定1級(社会人レベル)」は、日本人でも迷う細かい「てにおは」の部分などを含めて日常的にベーシックな日本語が話せて、ことわざなども理解しているレベルです。(ちなみに、外資系で私の直属の外国人上司がこの”日本語検定1級”レベルでした。)
大変私的な極論ですが、ビジネスに必要なのは「ある程度の英語力+度胸」程度でいいのではないかと。 こんな私でもそれなりに仕事ができていたので、ちょっと頑張れる人なら断然大丈夫です!
高度なビジネス英語習得を心配するよりも、日常英会話をベースに仕事のスキルを習得するほうに労力を割いたほうがずっと仕事や転職にも役立つのでは?と個人的には思っています。
実は日常英会話のほうがビジネス英語よりも難しい!?
さて、この「ある程度の英語力+α」の、「ある程度」がどのぐらいなのかが気になる部分であると思います。
「ある程度の英語力」は、「日常的に英語で話せる程度の英語力」と考えたところ、この日常会話部分とは?となるかもしれません。
日常英会話ができる、というのは
- 日常生活に必要な会話ができる
- 周囲の人との円滑なコミュニケーションが取れる
- 相手の意見を理解して自分の意見が言える
というようなことを、例えば「日本で外国人が日本語で生活する場合を考えた時」を想像しながら考えてみてください。
そう考えると、日常英会話はかなり広範囲ですので、「ビジネス英会話」よりも実は難しいかもしれませんね。
それでは、この3つについてイメージを挙げてみますね。
日常生活に必要な会話
目の前にあるものを値札通りのお金を出して「Please」ぐらいしか言わずに買う、といった海外旅行の英語ではなく、見たことのない野菜や調味料などを見て「どう使ったらいいの?」「どんな味ですか?」「これはちょっと高すぎない?」と言ったような会話ができるようになれば、現地での日常生活で十分使える・役立つのではないでしょうか?
前述のように、言葉を知らないだけで値段が割高になったり理由が不明のまま言い値で買っていたり・・・という状況なら、やはり「海外旅行英語」止まりです。
外国で生活するうえで、自分で情報を収集し自分で理解して判断する、といったことが、他言語で日常生活を送れるということなんだろうなと思います。
一方で、何でも「値引き交渉しようとする」のも、実は馴染めてない証拠でもあります。なぜなら、その地元の現状を知らずに「ただクレームを言っている」と判断されお店から敬遠される場合もあるからです。(最終的には、売ってもらえなかったりもっと割高になることも…) ちなみにアラブにはアラブ流の、ヨーロッパにはヨーロッパ流の「値切り術」もあるので、それを理解するとまた現地での生活が楽しくなることウケアイです!(笑) 空気を読む・雰囲気を読むのは、日本だけではないんだな~ということを知ることも、一歩現地の日常生活に踏み込んだことになるのではないでしょうか?
周囲との円滑なコミュニケーション
英語や現地語での挨拶から、簡単な雑談や色々な情報収集ができるぐらいの会話力があれば、コミュニケーションには困りません。
日本同様に、人が集まれば何かと雑談するのは海外でも同じです。
例えば、近所で異臭がする⁈と言った場合に「なんか変なにおいがするんだけど、何か知ってる?」とご近所の人と話せれば、「季節的な耕作期だから」「今年は何だか湿気がひどいから」「近所の工場で爆発騒ぎがあったらしいよ」といった情報も入ったりしますよ。
実はこのエピソード通りのことがあったんです…イギリスにいた頃、なぜか近所で異臭がしていたのでお隣のおばさんと立ち話してたら、向かい側に住むおじさんも出てきて「化学工場の爆発」ということが判明!ハウスメイトにも説明して、慌てて裏庭の洗濯物を取り込みました。(汗)
相手の意見を理解し自分の意見が言える
相手の言っていることを理解して、自分の言葉で反応できることで、コミュニケーションが深まったり、様々な状況の中で「無視されない存在」になることにもつなるのではないでしょうか?
日本では、相手を尊重し小さな事にはうるさく言わない「美徳」がありますが、ひたすら我慢して何も言わないことはストレスを溜めるだけではなく、海外では「侮られる」理由になってしまうこともあります。
全てにおいて常に自己主張する必要はありませんが、相手や状況を理解して、毅然とした態度で「発言する」ことは大事だと思います。でもこれは、最近の日本でも言えることかもしれませんね?
仕事で多国籍チームに混ざった時、「言うべき時に言う」スタンスをとにかく大事にしました。当時は仕事を回すために必死だったので「チームで自分の言葉に説得力を持たせるためにどうしたらいいか」を常に考えていました。。。
海外駐在でも英語を怖がり過ぎずに!
会社によって、海外赴任先によって、現地での職域によって、求められる語学レベルは様々ですが、海外駐在に備えるなら、まずは日常英会話を中心に英語力を組み立てるべきかもですね!
そして、「ビジネス英語が話せなきゃ・・・」と言った心配をしすぎなくても大丈夫です。
なにより、英語は「生きている言語」なのでたくさん使う機会があればあるほど、アップデートされて更に使い勝手がよくなっていきます。
英語の勉強には様々な方法がありますが、ぜひ自分に合った方法で身に付け、いつか行く海外のための自分の底力を鍛えてください!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
非英語圏で、その国の言語がまだ話せない状態なら、なんとか通じる可能性があるのはやはり英語!
現在は通訳・翻訳アプリなどもありますので、込み入ったことはそちらに任せてもOKですが、現地語の「Thank you」「Please」などに笑顔を添えておくことだけでも、最初の頃ならコミュニケーションとして気持ちが伝わる部分は多いです。
でも、やはり海外にいるなら自分を守る意味でも、英語は話せた方が何かと安心ですよね。